先日のサプリメント医療薬学研究会で、お話しさせていただいた内容の続きです。私が会社を設立してから、ビタミン、ミネラルといった、基本的なサプリメントを中心に扱うようになったいきさつについてのお話です。
ガンの人を集めてアガリクスを販売するのは、今よりは比較的簡単でした。大手企業でもアガリクス商品が売りだされ、広告宣伝も増えてきましたので、アガリクス自体が成長した時期でタイミングが良かったのだと思います。
私どもが扱っていた商品は、他社のものと比べても高い商品ではありませんでしたが、そこそこの単価はしましたので、売上も順調に推移していました。
しかし、残念なことに、ガンで亡くなってしまう人はいるのです。確かにアガリクスでガンと共存しながら延命はできる人はたくさんいたのですが、亡くなってしまう人も後をたちませんでした。叔父のように完治するというのは、希なのです。残念ながらしばらくすると亡くなってしまう方が多いのも事実でした。
これは科学的には分かりませんが、このような健康食品を摂ると最初は効果があるのですが、1、2年くらいすると、だんだん体が慣れてしまうのでしょうか。効かなくなってくるというようなことが多かったのです。
親身になってお付き合いさせていただいたお客さまが亡くなるというのは、仕事とはいえ、とても辛いことです。申し訳ないという気持ちでいっぱいになり、しばらく落ち込んで、楽しく仕事ができなくなってしまいます。
末期のガンの方からご相談があると「ほかをあたって!」と頼みたくなるほど、嫌になってしまったのです。早期であれば効果も期待できるのですが、相談してくる方は末期の方が多いのです。健康食品なんか信じていなかった患者さんが、病院での治療法が無くなると、健康食品に最後に望みを託すというお気持ちもよくわかります。
これは続けられないと思うようになり、アガリクスを止めて、ガン患者を対象とせず、ガンをはじめとした生活習慣病予防のためにサプリメントを提供するという方向へと、軌道修正をしました。
世間でも予防医学が、重要視されてきたのもきっかけの一つでした。
先ほど述べましたように、正しいサプリメントをという気持ちがあり、私が考えた正しいものの判断基準は、感覚的なこともありますが
まずは、十分に研究され、科学的根拠のあるもの、もしくは臨床例の多いもの
最近は「エビデンス」なんて言葉がよく使われておりますが、これが一番大事です。
また、摂るとこうなるという結論づけに無理の無いもの
病気もそうですが、痩せるだの、胸が大きくなるだの、背が高くなるだの、飲むとそういうこともありえるかも知れませんが、結論付けが飛躍しているものは正しいとは言えません。
そして、経済的なもので・・・
続けることが簡単なもの
あまりにも量をたくさん飲まなければならないものや、気持ち悪くなるほどまずいものでは、続けられません。
そして・高品質、安全で安定しており、安心できるもの
そんな判断基準に基づいて、栄養学の基本に帰り、生活習慣病予防のために何が必要かということを考えた結果、「ビタミン、ミネラル」といった基本的なサプリメントを商品ラインナップの中心にしました。
ビタミン、ミネラルでは物珍しさもなく、予防という目的では集客も難しく、単価も安いということで売上を確保するのはとても苦労しました。
しかし今思うと結果的にはそれが大正解だったのです。それから一年半ほどして、ご存じの例の厚労省のアガリクスに対する発表があって、アガリクス業界は大打撃をうけることとなったのです。
アガリクスも絶頂期は、650億円の市場と言われ、500億円以上の市場に成長した健康食品は、ブームがさってもそこそこの支持は得られると、業界内では言われていたのですが、こんなことになるとは想定外でした。本当に良いタイミングで軌道修正できたと思っています。
それでは、続きは次回とさせていただきます。(原)
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