昨日の続きです。
国立ガンセンター東病院で退院した患者に配布している、資料の一部、民間療法の注意点についてです。
民間療法を試されるのであれば、以下のような点を気をつけるようにと書かれてあります。
ア)自分に良さそうだと思えること
「こんなもの効くわけない」と思っているものを摂ったり、そういう治療を受けたりするのは苦痛ですらあります。せめて良さそうなことをしているという安心感は欠かせません。
あなた自身が色々な情報を見聞きしたり、ご親戚やお友達が色々とあなたにおすすめしたりすることもあるでしょう。しかし、あなたの隣の患者さん、お友達がご存知の患者さんの状況はあなたと決して同じではありません。ある患者さんに良かったことが、あなたにも良いとは限らないのです。そういう情報にあまり振り回されないようにしましょう。
イ)実際に飲んでみて不都合が起きないこと
原料が天然だからといって副作用が全くないということはありえません。トリカブトのような天然の毒物もあります。通常の食べ物ですら、例えば脂肪や食塩を摂りすぎれば体に良くないのはご存じでしょう。何らかの働きを及ぼすような物、治療法には必ず何かしらの副作用がありえます。副作用が全く無いなどと断言できる方法は、体に何の働きもしないでしょう。
薬は副作用についても人体で検証されています。薬による利益が、副作用の危険性・可能性を上回ると判断されるために、薬として認められ、使われているのです。いわゆる民間療法ではそのような検証がなされていませんから、どんな副作用がですか分かりません。いわゆる機能性食品を食べて調子が悪くないり、命を落としかけたケースも報告されています。調子が悪くなってしまったら、その方法は止めて担当の医師にご相談ください。
調子が悪くなることを「好転反応」などど称して良いことであるかのように装っている場合もありますが、一般の方には副作用と病気の進行を区別できないこともありますから、やはり担当の医師にご相談いただいたほうが良いでしょう。
ウ)無理のない値段のものであること
「こんなに払って」という苦情があっては逆効果です。このくらいの金額なら自分のために払っても良いかなと思える程度に留めましょう。たいていの健康食品の原価は驚異的に安いものです。むしろ「異常に高い」という感じのするものは、たいがい詐欺まがいと思ってまず間違いありません。
エ)こうすれば絶対大丈夫とか、どんな状態でもOKというような売り込みがされているものは避けること
生命の世界に「絶対に」とか「何でも」とかいうことはほとんどありません。特にある治療が絶対的に正しいとか、どんな状態にも効くということはありえないと言っても過言ではありません。「絶対に」とか「どんな状況でも」とかいうのは、まず詐欺や口車です。
オ)過度の期待はしないこと
「絶対に治る魔法の薬」などと期待をかけていますと、効果がなかったときにあなたもご家族もがっかりします。「たくさんのお金を使って、こんなにたくさんの機能性食品を食べても全然良くならない。悲しいです。なぜでしょう。これだけ食べたら絶対良くなるはずなのに…」という嘆きを耳にすることがたまにあります。「元気が出る方法」くらいに考えておかれたほうがよろしいでしょう。
カ)「食品」を無理して食べ、本来の食事に影響しないこと
いわゆる機能性食品の解説書には、病気の場合は健康維持の2倍から30倍もの量を摂るようになどと書かれていることがあります。しかしこれらの「食品」の中には味が極端に悪いものも多く、計画どおりに食べようとすると、それでけでおなかがいっぱいになってしまったり、味のひどさに食欲が落ちて、本来の普通の食事が摂れなくなったりということになりかねません。これでは本末転倒です。
ご家族も「この薬を飲まないと治らないのよ、なんで食べてくれないの。おいしくなくってもこれを食べれば治るのよ!」などと言って、ご本人との関係を損なうのはうまくありません。無理をせず、量を減らすなり、食べやすい食品に変えるなり、食べやすい方法を考えることが必要です。(原)
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