父がお世話になった国立ガンセンター東病院では、退院した患者さんに対し「退院した後は」という注意書きを配っています。
それには、患者さんが早く元の生活に戻れるように、日常生活での注意点などが書かれているのですが、その中に、「いわゆる民間療法について」という記述がありました。
ガン患者さんが、民間療法に頼るケースが多いため、医師の立場からのアドバイスですが、私が皆さんにお伝えしたいと思っている内容に近いです。ガンでない方にも参考になると思いますので、一部をご案内します。
いわゆる民間療法が「民間」であるのは、その効果も副作用も人体できちんど検証されていないからです。だからこそ、私たちは行いませんし、「食品」として売られていたりするわけです。
しかし人によって細胞の働きを司る遺伝子は異なり、その遺伝子にいくつかの変異が積み重なってガンができるのですから、ある物質、治療法があなたのガンに劇的な効果を発揮する可能性はあります。それこそ「イワシの頭」で治るガンもあるのかも知れません。しかし、そういうことが一人の方に起こっても「イワシの頭」が薬として認められ、多くの方に使っていただけるわけではありません。抗がん剤という副作用が強く出ることが多い薬でも、ガンの塊を半分以下にするという効果を2割ほどの患者さんに示せれば薬として認可されるのです。
多くの民間療法は副作用がほとんどなく、とても良く効くかのような宣伝をしていますが、本当であれば私たちも行いますし、「食品」として留まっていすはずはないのです。
ほとんどの民間療法は学会に報告されておらず、信頼できません。学会で発表したことを売り物にしているケースも時々ありますが、科学論文になっていない発表というのは、きちんと検証がなされていないことも少なからずあり、信頼できる治療とは限りません。
ですから、いわゆる民間療法に期待し過ぎないほうが良いですし、もしかしたらかえって害をもたらすかもしれないとお考えください。まずやるべきことは検証されていて効果がそれなりに示されている治療を試みることです。
その上で自分の体に良さそうだと思えるものを摂ったり、治療を受けられることを頭から否定するわけではありません。たとえガン自体には効かなくとも、良さそうなことをしているという安心感が得られるでしょう。次に試される際の注意点が書かれていますが、つづきは明日にします。(原)
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