昨日、このブログでサプリメントの製造元から消費者までの間にいろんな人が入ってくると、いい加減な情報が先走ることがあると書かれていましたが、製造元までがいい加減でデタラメな情報を流していた例を思い出しました。
私のとってもとても苦い思い出です。私がこの仕事を始めたばかりの頃の話です。
私どもから何度がビタミン、ミネラルのサプリメントを買っていただいた、近所に住むお客さまのお話です。仮にYさんとしましょう。
Yさんは40才台の独身女性です。妹さんと一緒に暮してらっしゃいました。Yさんにガンが見付かり、すぐ手術をするように医師から勧められていたのですが、Yさんは自分のお仕事の関係で知り得たある健康食品を信じてしまったのです。
病院へ行くのを止めて、その健康食品に全てをかけることにしてしまったのです。その健康食品の製造元には、わけのわからない「○○菌」を発見したという学者のような人がいて、その人は「これを飲めばガンは必ず治る」「全員この健康食品で治っている」と言っていたそうです。その健康食品は飲むほかに、お風呂のお湯に入れても使用します。そのお風呂の水はその○○菌が浄化させるため、何度でも沸かし直して入れるんだそうです。
さらにその学者のような人は、ある神社の宗祖・代表でもあり、礼祭や研修も行っていたそうです。
このように宗教的活動みたいなこともからめて、その商品の売上げ向上を図ってきたのです。
私はその方に何度も病院へ行くように勧めたのですが、完全に洗脳されたご様子で、聞き入れてはもらえませんでした。
今思えば、あの時にもっと言えば良かったと思います。
私は、その商品をみて科学的な根拠のないものだと思いましたが、Yさんは見た感じとてもお元気そうなので「こんなに信じているものを頭ごなしに否定するのはどうだろうか?」とか「自分の商品を売りたいからと思われるのでは・・・」とか「人間の体の仕組みは全て解明されているわけではないので、もしかしたら効果があるのかも知れない・・・」などと考えてしまい、強引に止めさせるようなこともしませんでした。
半年ほどして体調が悪いとの連絡をもらった時は別人のように、痩せてやつれて、やっと歩けるといった状態です。
Yさんがその健康食品の会社に体調が悪いことを、何度相談しても「もっとたくさん飲むように・・・」「もっとそのお風呂に長い時間入るように・・・」と指示されるだけだったそうです。
私はすぐに病院に行くように説得しました。Yさんも調子が悪いので病院へ行く気になったようです。
後でYさんの妹さんに聞いたのですが、病院でも何かを施せるような状態ではなく、お医者さまに「どうしてもっと早く病院に来なかったのか」「あの時に手術していたら助かった可能性は高い」と叱られたそうです。
残念ながらYさんはその半月ほど後に亡くなりました。私は最初に何でもっと強く病院へ行くように説得しなかったのか、その健康食品を強く否定しなかったのか、ものすごく後悔しました。
Yさんの妹さんから見れば私もその健康食品の会社と同じ同業者です。私も同じように妹さんから恨まれてしまったのです。私がYさんのために最善なことをしなかったことは事実です。何も言い訳はできませんでした。
思い出したら悲しくなってきましたので、続きは次回にします。(原)
スポンサーサイト